「かぐや様は告らせたい」の赤坂アカ先生と、「クズの本懐」の横槍メンゴ先生がタッグを組んだ大人気漫画「推しの子」が放送を開始した。お二人のアニメ化した作品は視聴しているが、どちらの作品もとても面白い作品だった。今回の作品に関しても、漫画を読まない私でも名前は知っており、ある程度知名度があった中でのアニメ化ということで期待していた人が多いと思う。制作会社も動画工房ということで、クオリティに関しては問題ないだろう。
これまで初回90分というアニメがあったかは思い出せないが、多分初めてじゃないかと思う。長くても60分が基本だし、正直90分も観ていると疲れる。
ストーリー
田舎の病院で医者をしている主人公。さりなという子供の病人の影響でアイドルにハマる。ある日、自分が推していたアイドルのアイが患者として病院にやって来て、アイが妊娠していることを知る。アイは、子供を生んでアイドルも続けることを決めていた。しかし、出産当日に主人公がストーカーのような男に殺されてしまい、殺された主人公はアイの子供として生まれ変わる。また、同時に生まれた双子の妹ルビーもさりなの生まれ変わりだった。
その後、アイはアイドルとして歌番組で復帰を果たし、アイが所属するB小町は一躍人気になるが、収入が増えたかというとそこまでではなかった。そんな中、ドラマの仕事が来たがほとんどカットされてしまった。その時現場にいたアクアに興味を持った監督は、アイを映画に出演させる代わりに、アクアも映画に出演させることにする。
それから月日が立ち、監督の映画もそれなりに評価され、アイは映画で良い演技をしたこともあったのか仕事が増え、二人は幼稚園に入園していた。そんなとき、アイがアクアを殺したストーカーに殺されてしまう。アクアはアイを殺したストーカーに情報提供した人がいると気づき、犯人の手がかりを探すため、監督の弟子になることにした。
感想
先行上映もやっていたので、そんなに期待されている作品ならそれなりに面白いのかと思っていたら、最初の30分は全然面白くない。特に看護師との会話が笑いを取りにいっているのに全く笑えない。映画館で観ていたら確実に寝ていた。そして、アイの子供に転生したわけだが、主人公を殺したストーカーは、アイの情報を週刊誌とかにリークしたほうが金にもなるし良いのでは?しかも、あんなに雑な殺し方なのに捕まらない。今の時代、あの殺し方では一瞬でバレて捕まると思う。その辺りの話の進み方が強引すぎるのが気になった。
その後は、アイが仕事に復帰した後の話がメイン。ここからは少し話が面白くなり、Mステのような番組に出たときのスタッフのB小町への態度が良かった。この作品は芸能界の良くない部分を描くこともしているが、こういうところが一番面白かったので、芸能界の闇を描くみたいな作品に振り切ったほうがいい気がする。まあ、こういうのが売れるんだけどねw
そして、動画工房がこの作品に相当力を入れていることもわかった。ヲタ芸やアイのダンスシーンはかなり頑張っていたと思う。おさまけのようなダンスだったらそれはそれで面白いので、正直少し残念な気持ちもある。この辺りで、ルビーがさりなだということがわかるが、お互いに気づいていないし、この後もあまり触れない。これもかなり無理な設定に思えた。
ここから役者の話になる。主演の女優より可愛いことが原因でアイがほとんど映らない。芸能界に詳しいわけではないが、知らないからこそこういったシーンにリアリティがあり、面白く感じる。ただ、ルビーが重曹の子役に「作り物っぽくて生理的に無理」と言っていたが、それはアイにも同じことが言えるのでは?アイは嘘つきなんだから、あの子役より遥かに作りものっぽいはずなのだが。
そして、最後にまたストーカーが登場してアイを殺す。まず、どうやってマンションに入ったのか教えてほしい。芸能人が住んでいるマンションはかなりセキュリティの厳重なところだと思うが、部屋の前まであの服装で誰にも怪しまれず来れたのがすごい。さらに、インターホンが鳴って何の躊躇もなくドアを開けるアイ。普通インターホンの画面で誰が来たかを確認するものだと思う。確認してれば殺されなかったので、殺させるために無理な展開にせざるを得なかったという感じだろう。
殺し方にもこだわっていれば面白かったと思うが、アイを殺して感動シーンを描くことしか考えていなかったと思う。転生とかアイの全然エロくないエッチなシーンとかを入れている辺り、中高生向けの作品だと思うので、無理に話にこだわる必要はないと思うけど。こういう初回の視聴者裏切りアニメは最初だけ面白いパターンが多いので、ここから話が面白くなりそうにもない。
このアニメは動画工房自身も出資している。チェンソーマンでもMAPPAが出資していたように、最近は制作会社の出資というのも1つの流れなのだろうか。せっかく儲かっているのに利益の出にくい製作委員会に出資するリスクをとるのはどうかと思うが、動画工房もMAPPAも出資するくらいには金があり余っているのだと思う。チェンソーマンは円盤の売上が良くなかったので、推しの子には頑張ってほしいと思う。
関連情報
作品情報
放送 毎週水曜日 23:00~(TOKYO MX)
原作 赤坂アカ・横槍メンゴ
監督 平牧大輔
アニメーション制作 動画工房
アイ 高橋李依
アクア 大塚剛央
ルビー 伊駒ゆりえ